工事現場 / ものづくりの展示室
アーク溶接はなぜ金属をつなげられるのか
電気の火花、溶融池、スラグで見る、溶接の職人技
鉄と鉄は、ただ押し当てるだけではひとつになりません。
アーク溶接では、電気の強い熱で金属を一度とかし、境目を小さな池のようにします。
そこへ溶接棒の金属も溶け込み、冷えると一体化した線になります。
きれいな溶接は、火花の派手さではなく、見えにくい溶融池をどれだけ読めるかで決まります。
電気で熱を作る
棒と母材の間にアークを出し、金属が溶けるほどの高温を作ります。
池を運ぶ
溶けた金属の小さな池を、一定の速さで進めていきます。
守りながら冷やす
被覆材がガスとスラグを作り、熱い金属を空気から守ります。
展示 1
アークは電気でできる小さな太陽
溶接棒と金属の間にすき間を作ると、電気が空気を飛び越えて流れます。この光と熱がアークです。温度は金属を溶かすほど高くなります。
- 1溶接棒と母材の間に電圧がかかる
- 2小さなすき間でアークが発生する
- 3熱で母材と溶接棒が溶ける
展示 2
溶融池を見ながら進む
溶けた金属は、液体の池のようになります。速すぎると細く弱くなり、遅すぎると盛り上がりすぎます。上手い人は光の奥にある池の形を見ています。
- 1池の幅を見る
- 2進む速さを一定にする
- 3端まで溶け込んでいるか読む
展示 3
被覆棒は金属を守る服を着ている
被覆アーク溶接の棒には、芯線のまわりに被覆材があります。熱で被覆材が分解し、ガスやスラグを作って、溶けた金属を酸素から守ります。
- 1芯線が溶けて溶接金属になる
- 2被覆材が保護ガスを出す
- 3スラグが表面をおおって冷える
展示 4
アーク長が長すぎると荒れる
棒を離しすぎるとアークが不安定になり、音も光も荒れます。近すぎると棒がくっつきます。ちょうどよい距離を保つことが、見た目以上に難しい操作です。
- 1長すぎると飛び散りやすい
- 2短すぎるとくっつきやすい
- 3一定の距離を保つ
展示 5
運棒は線を描くような操作
溶接は止まった火花ではありません。棒の角度、進む速さ、左右の振り方で、溶接線の形が変わります。手元の数mmが強度に関わります。
- 1角度で熱の向きが変わる
- 2速さでビード幅が変わる
- 3左右の振りで端をなじませる
展示 6
安全装備も技術の一部
アークの光は強く、裸眼で見ると危険です。遮光面、手袋、長袖、換気。溶接の上手さは、火花を出すことだけでなく、安全に続けられる段取りにもあります。
- 1遮光面で目を守る
- 2革手袋と服で火花を防ぐ
- 3煙と熱への対策をする
豆知識
知ってから見ると、動きが変わって見える
音も手がかり
安定したアークは音も安定します。見た目だけでなく、耳でも状態を読んでいます。
きれいな線は強さの入口
見た目だけで強度は決まりませんが、乱れた線には原因があります。観察は品質管理の第一歩です。
失敗跡が先生
穴、盛りすぎ、溶け込み不足。失敗したビードには、次に直すべき操作が残ります。
体験展示
最後に、アークを合わせる感覚をゲームで体験する
ARC MATCHは実際の溶接を再現するものではありません。けれど、暗い遮光面の中で位置を読み、ちょうどよいタイミングで線を作る緊張感を小さなゲームにしています。