ある森でキツネはナイフを作りました。

それは石を磨いて作ったナイフでしたが、ピカピカと光っていて、元がただの石だとは解らない程でした。

ナイフは石より柔らかい物なら何でも切れて、そして何より形が格好良かったので彼は毎日の様にナイフを作り、いい出来の物を見ては満足していました。

このナイフという新しい道具を自慢しようとキツネは森の皆を集め、木の枝を切って見せました。
キツネがナイフを上下に動かすと固い木の枝がいとも簡単に切れました。

皆は目を丸くして、それからナイフの作り方を聞きました。

キツネが作り方を教えるとナイフの作り方はあっという間に森中に広まりました。

そして誰もがナイフを使うようになりました。
キツネはナイフを持っている動物が沢山居るのを見て、誇らしくもありましたが、ナイフを作るのが自分だけでは無くなったのが少し惜しくもありました。

ところで、森には大変仲の悪い猫と犬がおりました。

猫は機会があれば犬を痛い目に合わせようと思っていましたが、猫はとても非力だったのでなかなかその機会は訪れませんでした。
そんなある日猫はたまたまナイフを拾いました。最近よく見るナイフ、それをあてずっぽうに振ると近くの葉っぱがスパンと切れて落ちました。

そしてその日は来てしまいました。猫はナイフを使って犬を殺してしまったのです。

森の皆は怒りました。

殺すつもりはなかった。猫はそう言いましたがその怒りは収まらず、皆に殺されてしまいました、勿論ナイフで。
そんな中、熊が大きな声で言いました。

ナイフを作ったキツネが悪い。

そうだ、そうだそうだ。と皆もキツネを責めました。

キツネは言い訳をせず、ただ謝り森を後にしました。
皆の目がいつもと違っていたからです。

その後もキツネは色々な作品を作りました。

しかし、キツネはそれを誰にも見せなかったし、最後はそれらと一緒に川に消えたのでもう誰も彼の作品を知りません。